ランニングの最中、ふと『おじさん』のことを思い出した。
昔のことってホントに記憶が曖昧で、自分では覚えてなくても、人に言われたり昔の写真を見たりして「え、俺こんなことしてたっけ?」みたいなことって山ほどあると思う。
そんな曖昧な記憶のひとつに「小学生〜中学生頃まで、釣りにハマってた」というものがある。
本当か?いや、多分本当だと思う。朧げにだけど、友達と自転車をこいで隣の船橋市の漁港近くに繰り出した記憶は確かにある。
いや、あると思ってるだけで本当は無いかもしれないけど、多分90%くらいの確率で事実だと思う。微妙に景色が思い浮かぶあの岸壁?は一体どこなんだろう。今もあるところなのかしら。
あれ?でも原付で行った記憶もあるな。となると高校生の時もやってたか?いや、車で行ったこともあるな。自動車免許取ったのが20歳の時なんだから、車で行った記憶が間違ってないならば、少なくとも20歳頃までは釣りを趣味にしてたってことか。全然忘れてたわ、高校の時には辞めたと思ってた。もしくはその記憶自体が本当は無いものなのかも。今度友達に聞いてみよう。
さて、そんな釣りという趣味に関する曖昧な記憶の中で、ひときわ真実なのか虚構なのか朧げなのが『おじさん』の存在だ。
今から覚えていることを書くけど、そもそもこの『おじさん』自体、実在の人物なのか怪しい。なんせ20年以上前の記憶だ。
『おじさん』は、ウチの中学の用務員だった。これはかなり正確な記憶だと思う。
身長は150cmくらい?中学生の時の自分から見てもかなり小さかった気がする。
年齢は幾つだろう?あの時で5,60は越えてただろうか?
少し白髪混じりの癖毛のオールバックで、歳の割には筋骨隆々で、若い頃はヤンチャしてたんだろうなぁと思った。
いつもニコニコ冗談ばかり言ってる気の良い好々爺と言った感じで、いかにも用務員です、といったような作業着を着ていた気がする。
どこか『こち亀』の登場人物みたいだな、とも思っていた。
掃除の時間はいつもゴミを収集している場所に立っていて「お願いします」とゴミを渡すくらいしか会話の無い相手だったけれど、僕の記憶が確かならば、何故か僕はこの人とよく釣りに行っていたのだ。
そもそも、連絡先も知らないし、学校でもほとんど喋った記憶がないこの『おじさん』と、市内の海ならまだしも、何故隣の船橋市の、しかも今でもどこだったかよく思い出せないような入り組んだ場所で一緒に釣りをしていたのだろう。
もちろんだけど誘い合わせたのではなく、僕らが釣りに行ったら『おじさん』はそこに居たのだ。
『おじさん』は釣りに詳しく、僕にリールやロッド、ルアーのことも教えてくれたし、何よりライントラブル(釣り糸が絡まったり外れたりしてしまうこと)があった時に助けてくれたような記憶が、確かにある。
『おじさん』は他の人が釣ってるようなメジャーなポイントではなく、少し分かりづらい場所にあるオススメの釣りポイントなんかを教えてくれた。気がする。(そんな場所はそもそも無いかもしれないんだけど。)
そして『おじさん』は
「自分は用務員だから、生徒と休日遊んでるのがバレるとまずい」
「だから学校では他人のフリをしてくれ」
というようなことを言ってた気がする。多分。
だから学校ではあまり喋らなかったのか。そうか。
本名も知らず、釣り仲間の同級生との間でも『おじさん』と呼んで通じていた。
『おじさん』についての記憶は本当に曖昧で、こうやって思い出しながら書いてみたら存在していたのかも益々怪しくなってきたのだけれど、僕は今でもリールやロッドや釣りの【知識がある】ことからやはり『おじさん』は存在していたと信じて止まない。
『おじさん』元気にしてるかなぁ。
余談だが「オジサン」という名前の魚がいる。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/オジサン)
まさか…魚だった…?

(中学生?頃のシーバスを釣った時の写真。僕が釣りをやってたのは確かなようだ)